吉野家祭り
推測するに祭りのはずなので、探しものやら欲しい本があるという理由をつけ、ちょいちょい出掛けてみた。初めに見かけた吉野屋Aは、もう祭り。20人は溢れ出ている。この立地でこの祭りっぷりでは、もはや祭りの参加は無理なのかもしれない。とにかくまずは探しもの。探しもの。
探しものは結局見つからず本屋さんに向かう。途中の吉野家Bも、それ祭り。30人は溢れて出している。並んでこそ祭りなのか。並ぶことこそが祭りなのか。オナカもそこそこだし、先に本屋さんで本を買い、ソレでも読みながら祭りに参加しようという企て。本はあっさりと見つかるも、まだオナカの方での祭りの準備が整わないので、もう少々立ち読みなぞ。
いい加減、祭り気分メーターが赤いラインに届きそう。本屋を出て、先ほどの吉野家Bへ。あれ?溢れがない!祭り終了か?とにかく会場へ足を踏み入れる。おほー、中は祭りの真っ最中。席には即座れた。運が良いのか、悪いのか。祭りスタート。まず注文。並と生卵と行こう。「ご注文は?」「なまっ!」並と言うつもりが生卵とごっちゃになって「なまっ!」と言ってしまった。言うというより変な力が入り、叫んでしまった。それでも店内は祭り、誰も彼も牛丼に必死で他人にはおかまいなしのご様子。しかし1年とはいえ、ブランクとは恐ろしい。牛丼一つで緊張とは。祭り故それも致し方なし。改めて「なっ、並と生卵」今度はちゃんと言えた。言えたよ、ちゃんと。ちゃんと?
お茶を飲みつつ気持ちを整え、牛丼を待つ。「ハイ、大盛りと生卵!」「へっ!?」大盛り?並って言わなかったっけ?言えてなかった?言えてなかったの?まあいいさ。祭りさ。喰っとくさ。神様のいたずらさ。悪魔の贈り物さ。なんたって大盛りだからね、半分は生卵なしで牛丼本来の味わいを楽しむ祭り。おっと、紅ショウガ、紅ショウガ。これを忘れちゃいけねぇ。ぱかっ。からっ。からっぽ?ほーほー、今度はそんな天使の意地悪ですか。さすが祭りですよ。それでこそ祭りですよ。それでは、向こうの紅ショウガをいただきますよ。「ちょいとすみません、紅ショウガをとらせてください」ギロっ!あれれ!この人、目がヤバイ。どっか行ってしまってる目だ。こわい、こわいよ。あの目も祭りなせるワザ?
紆余曲折の末、紅ショウガをゲット。牛丼を食す。これが吉野家だったかぁ。これが吉野家だったかぁ。祭りってきましたよ。祭りってきましたよ。そして生卵で牛丼を。これが吉野家だったかぁ。これが吉野家だったかぁ。これが祭りだ。これで祭りだぁ!
大盛りにもかかわらず、一瞬だった。これが祭りというものか。残りのお茶をイッキに飲み干す。エンディングロールが流れている。思い出すあのシーンやこのシーン。何気に横を見る。ギロっとした隣の人はいない。別の祭り人だ。牛丼に醤油をかけている。醤油をかけている!やっぱりギロっとしている!!ギロっと醤油をかけている!!!なにかしらの恐怖を感じる。せっかくの祭りだがここは参加費を払いさっさと退散。扉にはまた溢れている。優に30人は溢れている。ギロっと人がいる。ギロっと30人いる。ギロっと祭り。